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ソーシャルレンディングとはどんな制度?企業と投資家を結ぶ戦略

クラウドファンディングの一種に登場したのが、今回のテーマである「ソーシャルレンディング」です。

ソーシャル(社交的)という名称があるように、この融資システムは個人と企業をソーシャルファンドがつなぎ、間接的に中小企業などに融資をする形態をとっています。

ソーシャルレンディングという言葉を初めて聞いた人のために、どういった仕組みで機能しているのか、メリットとデメリット、また注意すべき危険性について解説していきます。

個人投資家のためのソーシャルレンディングとは?

個人投資家にとって、資産をどのように運用するかは極めて重要なことです。資産運用についてよく知らない人でも、国債や株式、社債、FXといった言葉は聞いたことがあると思います。

これらと同じように、ソーシャルレンディングとは一種の投資に分類されます。

ソーシャルレンディングの仕組みをわかりやすく説明すると、個人投資家とソーシャルレンディング企業と融資を受けたい民間企業の3者でやり取りする投資方法になります。

個人投資家をA、ソーシャルレンディング企業をB、融資を受けたい企業をCと仮定すると、Aは好きな金額をBに預けます。BはCに対してCが希望する金額を融資、CはBに期日までに金利込みで返済、BはAに対して定められた報酬を分配するという流れになります。

つまり、個人投資家が企業に直接融資をするのではなく、間にソーシャルレンディング企業が仲介し、企業の審査を受け持つことで、個人投資家は貸し倒れリスクを減らし、融資を受けたい企業はソーシャルレンディング企業からまとまった資金を確保しやすくするのです。

投資には、流動性と利回りという重要な概念があり、わかりやすく言えば、自分の投資したお金がどのくらい不自由になるかというのが流動性であり、貸したお金がどのくらい増やせそうかを数値化したのが利回りといいます。

例えば、国に対してお金を貸す国債は、一度預けたら決められた期間は自分のお金にすることが出来ないので、流動性が低いとなります。流動性が高いというのは、いつでも自分の現金資産(現金化)に戻すことが出来るものです。例えば株式だったら、購入した直後にも売却でき、すぐに自分の現金資産に戻ります。流動性が低いというのは、一度何かに変えたら、一定期間は現金化できなくなるような金融商品を指します。

ソーシャルレンディングは流動性の低い投資方法に分類されます。

利回りと安定性はトレードオフの関係?

利回りとは、簡単に言えば「投資した資産を放っておいた時にどのくらいの利益を生むか」という目安です。何に投資するかによって、利回りを求める計算式は変わってきますので、ここでは代表的な例を出しておきましょう。

株式を購入し、その利回りを調べようと思ったときは、「売買損益+分配金-売買手数料-税金」の合計を投資元本(購入した際の金額)で割った後、運用年数を掛けてさらに100分率であらわしたものです。

これがプラスになれば投資によって儲かっている状態、マイナスになれば投資元本に対してそれだけ損が出ている状態になります。

安定性とは、この利回りの幅がどの程度ばらつくかという話になります。国債のように、元本割れしない=損が絶対に出ないような商品を安定性が高いと表現しますが、こうした商品ほど利回りは小さくなります。いわゆるローリスクローリターンというやつです。

反対に、株式のような商品は、購入した株が高騰すれば、資産を何倍にも増やすことが出来ますが、企業が倒産したり株価が急落すれば、大きな損を出すことになります。こうした商品は安定性が低いと言われる代わりに、利回りが高くなることもあります。こちらはハイリスクハイリターンな投資ということになります。

安定を取ろうとすれば、大きな利益は見込めなくなりますし、大きな利益を求めれば、リスキーな商品を選択しなければいけないという点では、安定と利回りはトレードオフの関係にあるといえるでしょう。

投資においてローリスクハイリターンなものは存在しないのです。

ここの分野でいえば、ソーシャルレンディングはローリスクローリターンな投資方法に分類されます。

ソーシャルレンディングのメリットは安定した商品!

さて、個人投資家にとってソーシャルレンディングはどのようなメリットがあるかという話をしていきましょう。投資家にとって自分の資産を増やさなければ話にならないため、各投資方法のメリットとデメリットを把握するのは必須です。

ソーシャルレンディングの強みは大きく分けて3つあります。

  • 利回りがリスクの高さに比べて高いこと
  • 投資の際に情報収集の手間がかからないこと
  • 投資の技術が収益に影響を与えないこと

まず、利回りについてですが、ソーシャルレンディングの利回りはおよそ8~10%と考えられています。ちなみに、一般人が最もよく利用している定期預金では、バブル期でも約6%、現在に至っては1%未満だという状態です。

投資のリスクであるのは貸し倒れやデフォルトですが、貸し倒れ率は0%を維持しており、ソーシャルレンディングは株式や社債に比べて極めて保全性が高い金融商品であると考えられています。

次に、投資の際に情報収集の手間がかからない点が挙げられます。基本的に投資とは、投資相手を事を調べるのは当たり前で、いかに今度発展する企業なのかを見極められるかが投資家の腕の見せ所でもあります。

ソーシャルレンディングでは、資金を提供するのは個人投資家でも、実際に企業に融資をするのはソーシャルレンディング企業になります。つまり、個人投資家は、自分の提供した資金がどの企業に投資されるか株式のように細かく選択できないということなのです。

従って、個人投資家は企業の情報を集める手間が無く、単にソーシャルレンディング企業に大まかに選択するだけで投資が完了するということなのです。

言ってみれば、ソーシャルレンディングにおいて重要なのは、投資家の企業を見る目ではなく、単純な資金力だということです。身も蓋もない話ですが、全くの投資素人であっても投資の達人であっても、同じソーシャルレンディング企業を選択し同じ金額を投資すれば、同じ利回りを得ることが出来るのです。

このことから、ソーシャルレンディングは、投資に不慣れな資産家から効率よく資金を集めることに長けているといえるでしょう。

ソーシャルレンディングが高い利回りを維持できる理由

先述したように、ソーシャルレンディングの利回りは9%前後という高い数値を持っています。

投資家にそれだけの利益があり、かつ仲介するソーシャルレンディング企業にも一定の利益を確保するためには、融資を受ける企業にかなりの金利を押し付けなくてはいけません。

当然融資を受ける企業としては、出来るだけ低い金利でお金を借りたいというのに、なぜそれでもこの仕組みが機能しているのかという話をしていきましょう。

そもそも、ソーシャルレンディングを介して融資を受ける企業はどんな企業なのかというと、そのほとんどが銀行から融資を受けられなかった中小企業なのです。

個人のカードローンなどの借り入れに例えて言えば、返済能力の高い人(企業でいえば大企業)は、信用があるとして銀行で金利の低いカードローンが契約できます。しかし、返済能力が低い(企業でいえば中小零細企業)と判断された人は、金利の低いカードローンでは審査に弾かれてしまい、仕方なく金利の高い消費者金融のカードローンを利用することになります。

ここでいう銀行カードローンは銀行融資、消費者金融カードローンがソーシャルレンディングだと考えてもらえばわかりやすいでしょう。

要するに、ソーシャルレンディングを利用して融資を必要とする企業は、すでに銀行の融資が認められずに、何としても資金を集めなくてはいけない切迫した相手だということです。だから多少金利が高くても気にしませんし、返済で不渡りを出せば企業として致命的な状態に追い込まれるので返済を守るのです。

このような理由で、ソーシャルレンディングでは企業に対して高い金利で融資をすることが出来ることに加えて安定した回収率を維持し、利益を十分確保したうえで個人投資家を集めることが出来ているのです。

ソーシャルレンディングのデメリットは儲かりにくいこと?

ここまでは、個人投資家にとって良い面を解説してきましたが、投資である以上、必ずデメリットといえる部分も存在します。

まず大きなデメリットの一つが貸し倒れリスクです。とはいっても、これは国債を除くどの有価証券でも同じ面があるので、一概にこれだけがデメリットとは言えませんが、先述したように、ソーシャルレンディングは比較的信用の低い企業に高い金利で融資をすることで利益をあげています。

いくら中小企業としても返済しなければ困るといっても、万が一倒産してしまえば、不渡りもくそもありません。企業の倒産リスクはどうしても避けられないものですので、流動性が低いことも相まって、ソーシャルレンディングをする場合、個人投資家はある程度のリスクを負わなければいけません。

投資家の立場から見て、ソーシャルレンディングは短期間に大きく資産を伸ばすということにはまったく向いていません。

数年単位で少しずつ利益を確保するのがソーシャルレンディングの運用スタイルです。もっとも短期間に素早く利益を出せるのがFXですが、これに比べるとリスクはかなり小さいものの、瞬間的な利益はまず望めないといってもいいでしょう。

肝心なのはココ!事業者選びの難しさ

ソーシャルレンディングを活用するときに何が一番重要かと聞かれれば、多くの人が「運営する事業者をどこにするか」という点を挙げるでしょう。

現在あるソーシャルレンディングの事業者は25社以上存在し、自分がどの事業者に投資するか、どのファンドに投資するかということが、ソーシャルレンディング成功のカギになっています。

確かに、株式投資などに比べて集めるべき情報が少ないですが、投資先というのは適当に決めて良いものでもありません。現在の景気、各業界の動向、世界の情勢、融資企業の将来性など、簡単であっても見るべき点はいくらでもあります。

最低でも、ソーシャルレンディング事業者を全て調べて、それぞれがどんな企業に融資をしているかぐらいは調べたうえで投資先を選択しましょう。

ソーシャルレンディングで起こりやすいトラブルを回避するには

投資家にとって、ソーシャルレンディングで一番起きてほしくないトラブルといえば、資金の回収が出来なくなるデフォルトです。

このデフォルトリスクを回避する一番簡単な方法が「分散投資」です。投資の基本ともいわれますが、自身の資産を複数の事業者に分けて投資することにより、どこかで回収が出来ない事態に陥っても、そのほかの投資先で損失分を補うように投資する方法です。

基本ですが、これをするのとしないのでは、資産の安全性に大きな差が表れるので、初心者であっても上級者であっても必ず実行することを勧めます。

投資の初心者でありがちなのが、自分が一番良いと思ったところに使える資産を全部つぎ込むような投資方法です。

これをやってしまうと、万が一その投資先で問題が発生した時に、大きく損害を被ってしまうことになります。

この問題はよく「卵の運搬問題」と呼ばれ、投資の基本を学ぶときに説明されます。1つの籠(投資先)に卵(自分の資産)を全部乗せて運んでいると、籠が壊れた時に卵が全部ダメになるので、複数の籠に卵を分けて運びましょう、という考え方です。

ソーシャルレンディングはオーソドックスな投資方法です。奇をてらったような投資戦略ではなく、分散投資のように基本に忠実で堅実な資産運用が重要になる投資手段だということを知っておきましょう。

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