「商工中金」が行う融資とは?政府出資だから金利は低い
事業主や自営業の人が事業用資金としての借り入れを検討する場合、事業用のローンがあり、扱っている金融機関には銀行や消費者金融があります。
ただ、事業用ローンも個人のカードローン並の金利が多く、経営を考えれば、なるべく金利の低い形でお金を借りたいと考えるでしょう。
「少しでも低い金利の融資を」と考えた時によく名前が出てくるのは、政府出資の金融機関、日本政策金融公庫ですが、実は他にも政府出資の金融機関があります。
知っている人は商工中金と言うと分かると思いますが、一般的には知名度があまり高いとは言えないかもしれません。どんな金融機関で、やはり金利は低いのでしょうか。
政府系の金融機関という「商工中金」とは実際にはどんな金融機関?
事業用のローンを扱っている金融機関はたくさんありますが、できるだけ低い金利がいいのは、どこの事業所も同じでしょう。
その中には、商工中金と呼ばれる金融機関があります。
商工中金は、事業者を営む人は知っていても一般的にはあまり知られていないかもしれません。
正式名所は、「株式会社商工組合中央金庫」になり、略称が「商工中金」となっています。政府系の金融機関の一つで、1936年(昭和11年)に中小企業の組合と政府の共同出資により設立されました。その目的もやはり、中小企業(中小企業の組合とその組合員を対象とした)を専門に、融資などを行う金融機関になります。
政府と民間が共同で出資している関係もあり、原則として中小企業の組合と組合員を対象に金融取引を行っています。店舗は全国に広く展開されており、全ての都道府県に最低1ヵ所は店舗があります。
同じ政府出資でも日本政策金融公庫とは違う?その違いについて
同じ政府出資の金融機関として「日本政策金融公庫」があるのですが、この日本政策金融公庫と商工中金は少し違います。と言うのは、日本政策金融公庫は、融資を専門としています。
これに対し商工中金の場合は、融資だけでなく、預金の受け入れや債券の発行、国際為替他、民間の金融機関に近いサービス展開を行っている金融機関になります。
日本政策金融公庫と商工中金の違い
日本政策金融公庫 | 商工組合中央金庫 | |
---|---|---|
出資者 | 政府100% | 政府・民間団体 |
保証協会の保証 | つかない | 保証をつける場合もある |
業務 | 融資のみ (預金や決済業務等はナシ) |
預金や決済などの他業務あり |
他にも、日本政策金融公庫は中小企業を中心としていますが、商工中金の場合は、中小企業団体(商工中金株主)の構成員という基本的な条件があるものの共同事業も可能と、規模という意味で幅広く融資を行うと言う違いがあります。その為、融資額もかなり高額となっている制度もあります。
政府系だから金利は低い?商工中金が行う融資はどんなもの?
ただ、団体加入の対象条件はあるものの、中小企業を支援する融資であることは間違いありません。
日本政策金融公庫のように政府が100%というわけではないのですが、ある意味国の支援を得ており、また、利益を追求している金融機関とは違う為、金利をはじめとする物理的な面で支援という形が見える融資と言えると思います。
融資内容は幅広いが中小企業の為の金融機関だから団体加入は必須?
中小企業の為の金融機関ではあるものの、全体として基本的な融資対象は決まっています。
商工中金の株主になっている中小企業団体(商工中金株主団体)とその構成員。
相談対象としては、中小企業を主要な構成メンバーとする共同出資会社、中小企業団体とその構成員の海外現地法人、中小企業団体とその構成員の事業を継承しようとする人。また、これから中小企業団体を設立予定や現時点で構成員になっていない人の相談も可能。(融資の段階で構成員になれば構わない。)
ここで言う商工中金株主団体ですが、このよう団体が入っています。
- 中小企業等協同組合:事業協同組合・事業協同小組合・火災共済協同組合・信用協同組合・協同組合連合会・企業組合
- 協業組合
- 商工組合・同連合会
- 商店街振興組合・同連合会
- 生活衛生同業組合・同連合会・生活衛生同業小組合
- 酒造組合・同連合会・同中央会
- 酒販組合・同連合会・同中央会
- 輸入組合・輸出組合
- 内航海運組合・同連合会
- 市街地再開発組合
融資の種類も多様!一般的な融資から団体への制度融資まで
融資の種類としてはこれらがあります。
- 一般的な融資
- 国の施策と連携した融資制度
- 組織化、組合共同事業支援のための融資
- 業界団体の制度融資
- その他の融資
さまざまな金融手法による取組みがあり、さらに細かく融資のコースがあります。その点を細かく見ると、いろいろな状況に対して融資制度があると言えます。
誰もが使える幅広い内容になっている?一般的な融資とは
商工中金の基本的な融資として、「一般的な融資」があります。これは、設備投資や長期運転資金など中小企業の事業として必要な資金に対しての融資になります。
一般的な融資の概要
使途 | 設備資金 運転資金 |
---|---|
融資期間 | 原則として設備投資15年以内 (うち措置期間2年以内) 運転資金10年以内 (うち措置期間2年以内) |
返済方法 | 分割返済、 または期限一時返済 |
利率 | 窓口にて相談 |
担保・ 保証人 |
必要に応じて |
融資額や金利については、商工中金のホームページには記載されていませんが、ネットの様々な情報によりますと、最高で7億2,000万円、金利は情勢によって変動するようですが、基本的に1%台のようです。
もちろん、個々により融資額や金利が変わってくるのと相談によっていろいろ決まってくるでしょうから、具体的な数字は表記できないのでしょう。
しかし、元々が政府出資もされている点を考えると、民間の金融機関よりもかなり低い金利で借り入れできると言えます。
ただ、商工中金のホームページでの説明の中にある代表的な資料として提出の必要が出てくるものに、決算書3期分とあるので、創業して間もない会社はなかなか厳しい面があるかもしれません。
代表的な提出資料
- 会社案内
- 決算書3期分
- 商業登記簿謄本
- 見積書(設備資金の場合)
- 事業計画書 など
会社によっては、提出が難しい書類もあるかもしれませんが、どちらにしてもまずは相談することから始まります。流れとしても、このようになっています。
一般的な融資の手続きの流れ
↓
申し込み
↓
審査
↓
融資
まずは窓口に相談に行くことから始まります。ので、よく簡単にネットなどで完結に手続きができるものとは違います。逆に言えば、細かいところまで話ができ、そのケースにあった融資をしてもらえるとも言えます。
ただ相談からとなると、「どこに相談すればいいのか。」と疑問に思う人もいるかもしれませんが、先にも触れたように商工中金は各都道府県には必ず店舗が存在しています。(国内100店舗海外4店舗)と言うことは、全国広くに対応していると言えるので、心配は不要です。
ただ、明確な融資までの時間表記はないものの提出資料の種類や流れからわかるように、時間が掛るのは容易に想像つくと思います。
種類が豊富!商工中金には一般的な融資以外にもいろいろな融資がある
商工中金では、メインと言える一般的な融資だけでなく、様々な内容の融資があります。
大きく分けるとこのようになっています。
- 国の施策と連携した融資制度にある融資
- 組織化、組合共同事業支援のための融資
- 業界団体の制度融資
- その他の融資
融資支援の内容もいろいろ?国の施策と連携している融資とは
融資もいろいろな形で分けてありますが、その中でも、それぞれでまた細かく融資種類があったりします。
国の施策と連携した融資制度にある融資の種類
危機対応業務 | 災害復旧資金 経営環境変化対応資金 |
---|---|
創業支援 | 再チャレンジ支援貸付 |
革新への支援 | 省エネルギー促進無担保貸付制度 環境配慮型経営支援貸付 |
再生への支援 | 事業再生支援貸付 (事業再生緊急支援資金) 事業再生支援貸付 (事業再生安定化支援資金) 事業再生支援貸付 (事業再生促進支援資金) 企業再建支援貸出制度 |
国の支援的な融資には、日本政策金融公庫があります。そちらの方も、融資の種類はかなり豊富に用意されています。もちろん融資額や金利などは違うので、一度比較検討してみるのもいいと思います。
業界に沿った資金の使い方がある!業界団体制度の融資もオススメ
業界団体にもいろいろありますが、対象業界が決まっている融資制度もあります。最終的には、その業界の事業主が借りられるとしても資金使途がそれぞれに決まっていたりします。
業界団体の制度融資の対象業界
- トラック運送業
- 通運事業
- バス事業
- 自動車整備業
- 造船関係事業
融資内容全部を網羅はできませんが、これらから見ても、中小企業を支援していることはわかると思います。
政府系の金融機関もそれぞれ違いはある!上手に見極めて使うといい
日本政策金融公庫は、知名度があると言う点では申し込みしやすいということはあるかもしれません。確かに金利も低いですし、融資に関する相談にものってくれます。
しかし、商工中金もまた、融資対象になる条件はあり、またはっきりとした融資額や金利の表記はされていませんが、相談から始まる点から見ても事業主からすれば申し込みのハードルが高いわけではありません。
少し話がずれてしまうかもしれませんが、そもそも金融機関としての格付けはAAクラスと高く評価されている点もあり、金融機関としての信用は高いと言えます。
それぞれに事業内容や経営状況、創業しての経過年数など、いろいろ違いはあるものですが、それに合わせて相談しながら融資について検討できる、国民のための金融機関には違いがありません。
民間の金融機関も金利は高くても融資までの時間があまりかからないなど、それぞれに良い面も悪い面もあります。状況を見て、どこから融資してもらうのかを検討するといいのではないでしょうか。
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