年金を担保にお金を借りる方法?知っておくべき高齢者の貸付手段!
70歳を超える高齢者が、公的機関や民間企業からお金を借りられる手段は限られています。
今回は、年金収入しかない高齢者であってもお金を借りられる方法である、「年金貸付担保制度」について解説していきます。
これを利用するには何が必要なのか、どんな方法で借りて、どういった返済をするのかといった基本的なことを知っておきましょう。
カードローンは利用できない?高齢者の借り入れ事情
一般的なカードローンでは、契約者に安定した継続的収入が求められます。また、借り入れが出来る年齢も、銀行や消費者金融にあらかじめ決められています。企業を退職し、契約申し込み時点で収入が無い場合、カードローンなどの借り入れの利用はほぼ不可能になるのです。
「年金でも借りれらるカードローンもあるって聞いたことある」という人もいると思います。確かに、いくつかの銀行では年金収入を本人の収入だと認めている場合があります。この場合、限度額に条件こそ付きますが、収入が年金しかない人であっても借り入れ自体は出来ます。今回の問題は契約者の年齢にあります。
年金を収入だと認められていても、ほとんどの銀行と消費者金融では、債務契約が出来るのは満65歳未満または満69歳未満であると約款で定められています。
つまり、収入があろうとなかろうと、70歳を超えた瞬間に大半の金融機関から借り入れをすることが出来なくなってしまうのです。
なぜ収入があっても高齢者の借り入れは禁止されているの?
高齢者の借り入れは、収入の有無よりも年齢制限に引っかかるケースの方が多いです。契約時に満69歳未満であることはもちろん、返済が完了する年齢も満69歳未満でなくてはなりません。
高齢者の借り入れは、貸し手である銀行や消費者金融にとってはリスクの高い取引だと考えられているのです。その理由はいくつかありますが、その最たるものが貸し倒れリスクです。
債務契約中に債務者が死亡した場合、その債務を相続する相手がいない場合、債権者は貸したお金を回収できなくなるからです。
平均寿命が延びた現代社会であっても、高齢者の死亡リスクは一定以上あります。同じお金を貸すのであれば、出来るだけ死亡リスクの低い相手に貸したいと考えるのも当然なのです。
年金しか収入が無くても借り入れできる年金担保貸付とは?
サラリーマンなどが定年退職した場合、以降の収入は厚生年金や国民年金に頼ることになります。人によっては有価証券や投資信託、不動産運用などで資金繰りをしているかもしれませんが、大多数の人は年金に頼ることになります。
年金は所得に分類されますが、先述したように、カードローンではほとんどの銀行、消費者金融で年金生活の身では収入基準を満たすことが出来ません。
しかし、こうした人でも借り入れが出来る制度が存在します。それが「年金担保貸付」という制度です。
独立行政法人福祉医療機構と日本政策金融国庫という組織が提供しているこの制度は、合法的に年金を担保とした借り入れを認めています。
この組織以外で年金を担保にした借り入れはすべきではありません。高確率で悪徳業者であり、金融業に詳しくない高齢者を狙った高利貸しの危険性が高いためです。
今回はこの2つの組織の内、利用者の幅が広い独立行政法人福祉医療機構に絞って解説していきます。
年金担保貸付の特徴と仕組みを解説!
ざっくりと説明すると、年金担保貸付は国民年金、厚生年金、労災年金のいずれかを担保として、10万円から200万円までを借り入れすることが出来る制度です。
この借り入れの特徴は大きく3つあります。1つ目は自分で銀行振り込みなどで返済する必要が無いことです。2つ目は使用用途が決まっており、生活資金や娯楽費用に使えないことです。3つ目は契約時に連帯保証人を必ず求められることです。
この中でも特に気を付けなくてはいけないのが、3つ目の連帯保証人を付ける必要があるという部分です。
年金担保貸付は、利用者の大半が高齢者であるため、契約途中に債務者が死亡するケースが少なくありません。その際、残った債務を速やかに回収する必要があるため、契約するときに必ず連帯保証人を付けることになります。この制度があることによって、高齢者の借り入れが認められているといっても過言ではないのです。
連帯保証人を見つけるのは容易ではありません。年金担保貸付の金利は、銀行カードローンより低く、これだけ見れば借りやすいといえるでしょう。しかし、連帯保証人を付けるのはかなり困難になることが予想されます。信頼できる人脈が無い高齢者には利用しにくい一面があることを心に留めておきましょう。
返済する手間が不要!高齢者にありがたいサービス
借り入れで一番面倒なのが何かといえば、やはり返済過程です。毎月決められた日までに一定の金額を返さないと、たちまち延滞や滞納になってしまうというのは、意外とプレッシャーになるものです。
特に高齢者は、決められた返済日(約定日)を忘れてしまうこともあり、気が付いたら延滞状態になっていたというケースも有り、借り手側と貸し手側双方にとって面倒なことになりやすいとされてきました。
年金担保貸付制度は、毎月の返済額をあらかじめ年金の毎月支給額から差し引いて、指定の年金受取口座に振り込むという仕組みを採用しているため、返済し忘れるということが無いようになっています。
また、毎月の返済額は、支給される年金の3分の1以下でなくてはいけないという決まりもあるので、「借金の返済が重すぎて生活が立ち行かなくなった」という事態も回避できるようにされています。
高齢者にとって、毎月いくら返済したらどのくらいで完済できるのかと一々計算して、変動する返済をするのは手間でしかないのです。このように、機構の方で自動的に返済をしてくれる仕組みは、長期返済の煩わしさを嫌う高齢者にとってありがたいサービスといえるでしょう。
金利と借り入れが出来る限度額の決まり方を知っておこう
年金担保貸付の金利は、労災年金とそれ以外で分かれています。労災年金の金利は年利1.1%で、それ以外の年金では年利1.8%で借りることが出来ます。
この金利帯で借りることが出来るのは、銀行や消費者金融ではありえません。住宅ローンよりも低いほどの金利で借りることが出来るのには、当然理由があります。
また、限度額自体にも特徴があります。借り入れが出来る金額上限は、支給される年金の年間支給の80%未満であり、且つ毎月の返済金額の15倍未満でなくてはいけません。
例えば、年間の支給額が90万円だとしたら、限度額上限は毎月の返済額に関わらず72万円までになりますし、毎月2万円を返済する人であれば、借り入れできるのはどんなに多くても30万円までということになります。
借りたお金は何に使える?使途可能用途を間違えないように!
非常に低い金利で年金を担保として借り入れが出来るこの制度ですが、デメリットも存在します。先述した連帯保証人が必須だということ、借り入れできる限度額が厳密に決められており高額な借り入れがそもそもできないこと、そしてここで紹介する最後のデメリットが、「借り入れした資金の用途の限定」です。
この制度で借りた場合、気を付けなくてはいけないことは主に2つです。1つは生活資金に使えないということです。生活必需品の購入用途は認められていますが、例えば毎月発生するようなもので、通信費、光熱費、保険料の支払いなどには使えません。
では何に使えるのかというと、一時的に費用が発生する妥当性の高い出費が該当します。何を言っているのかわからないという人の為に例を挙げると、医療費、冠婚葬祭費、介護費用、親族の教育費用、家電などの生活必需品の購入費用、住宅のリフォーム費用などに利用できます。
「借りたお金が何に使われたのか調べられないんじゃ意味ない」と思うかもしれませんが、年金担保貸付では、10万円を超える借り入れをした場合、何にいくら使ったのかを証明する書類を提出する義務があります。
つまり、嘘の理由をでっち上げて借りて、禁止されている使い道に充てたということが発覚すれば、契約を打ち切られるということです。年金担保貸付を利用するときは、最低限知っておくこととして、自分が何にいくら使いたいのか、それがこの制度の利用目的として認められているのかを調べておく必要があるのです。
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