加入している生命保険でお金を借りる?契約者貸付を賢く使おう!
お金を企業から借りようと思ったときに真っ先に候補に挙がるのは、銀行や消費者金融から借りることですが、こうしたカードローンやフリーローンは審査が厳しかったり金利が高かったりして長期の借り入れには向いていないことが多々あります。
今回は、意外と知られていない生命保険を利用した借り入れについて解説していきます。消費者金融などの通常の借り入れと何が違うのか、どういったメリットデメリットがあるのかを知って、適切な使い分けが出来るようになりましょう。
お金を借りられる生命保険ってどんな保険?
生命保険の契約の中に、「解約払戻金」と言われるものが含まれている契約が、お金を借りることが出来る保険です。これは何かというと、保険を解約した時に、それまで契約者が積み立てている保険料とは別のお金のことです。
これは本来、契約者ではなく保険会社のお金ですが、元は契約者が支払ったものです。これを支払っている保険でないと、生命保険を利用した貸し付けである「契約者貸付」を利用することは出来ないのです。
一般的な掛け捨ての保険や定期保険、生存保険料と言われるものを支払っていない保険では使えない制度であるということを知っておかなくてはいけません。
この制度が使える代表的な保険は、契約者が死亡するまで契約が続行する終身保険と、高齢者に厚く保証が対応している養老保険、それに学資保険など積立式の保険です。
この制度の特徴にして最大のメリットは、お金を借りたからと言って保険が解約にならないことにあります。
解約払戻金とは、言ってみれば保険を解約した時に契約者にそれ以降の保障をしない代わりに、これまで保険金を受け取らずに積み立ててきた生存保険料を返還するという仕組みのことです。契約者貸し付けはそれを前借りするようなものなのです。
契約者貸付で借りるお金に利息は発生するのか
銀行や消費者金融での借り入れは、利用者に対して必ず金利が発生します。これは、本来貸し手側が自由に使うことが出来るはずだったお金を借り手側に貸すことによって生じる不自由に対する対価という本質があります。
例えば、AさんとBさんがいて、AさんがBさんに1万円貸したとしましょう。Aさんは本来この1万円を事由に使えたのにBさんに貸したため、この分のお金を自由に使える権利を失ったことになります。そこで、その間に発生するAさんの不利益を金利という形でBさんに補償してもらうというのが金利の根本的な考え方です。
当然、使えない期間が長くなるほど金利は高くなります。また、借りる相手が信用できないほど、貸す方は返済されないかもしれないというリスクを抱えることになるため、金利が高くなります。
結論として、契約者貸付では借り入れするお金に対して通常の借金と同じように金利自体は発生するが、その利率は同額をカードローンなどで借りるのに比べて圧倒的に低いということになります。単純な金利比較だけでいえば、契約者貸付は優れた資金調達手段になりうるのです。
保険契約が解除される?借り過ぎによるデメリットとは
契約者貸付は私たち利用者にとって優れた資金調達の手段の一つであるということでしたが、これはあくまでほかに取るべき手段が無い時の最後の手として温存しておくのが望ましいとされています。
その理由は、契約者貸付のデメリットにあります。この方法は、保険会社からするとあまり歓迎されない方法であり、本来保険というのは、多くの人が費用を出し合って保険金の原資となっています。
確かに解約払戻金は、保険金には含まれない部分ですので、この範囲内だけで借り入れをしていれば、保険会社も大目に見てくれます。しかし、返済が滞り、金利を含めた債務額がこの解約払戻金の裁量を超えた場合、保険会社の対応は一気に厳しくなります。
契約者の債務額の合計(元金+利子)が解約払戻金の総額を超えた場合、保険会社は返済を求めてきますが、この時返済できないと保険契約を解除される恐れがあります。
この問題に直面しやすいのが、契約してからそれほど時間がたっていないケースです。この場合、利用者が積みだてた解約払戻金が少なく、必然的に借り入れできる金額の上限も低い状態にあります。この時、解約払戻金限界まで借りてしまうと、積立の速度より金利の上昇幅が大きく、保険契約が失効になる可能性があります。
そうでなくても、契約したばかりのころは、そもそも積立自体出来ていないため、借り入れが認められないことが多いです。保険業者は貸金業者ではありません。生命保険を利用した借り入れは、あくまで裏技的なものであり、まとまったお金を借りることには適していないということを理解しておきましょう。
契約者貸付の返済は自由度が高いって本当?
「毎月決まった額を返済しなくてもいい」とか「まったく返済しない期間を作れる」とか、インターネット上には契約者貸付には返済が緩いという内容が散見されます。
これらは一部を除いてほぼ事実と言ってもいいでしょう。基本的に、契約者貸付の返済は、債務者側に一任されていることが大半です。債務者側、つまり私たち被保険者側が返済しようというタイミングで金額を自由に返済できるのも、契約者貸付の魅力です。
銀行者消費者金融からお金を借りる場合、「約定」といわれる「毎月最低でもこれだけは返済してください」という規則がありますが、契約者貸付はそれがありません。
そのため、限度を超えなければ数ヶ月の間まったく返済しなくても問題ないといったこともあるのです。しかし、当然ですが返済しなければ元金も減らないので、その分金利が増えることになります。それでも、ある程度無理が出来るので、契約者貸付の返済は自由度が高いというのは間違っていないでしょう。
返済方法も銀行振込、インターネットバンキング、店頭での直接返済、ATMでの返済と選択肢が多く、一括返済や分割返済はもちろん、任意のタイミングで返済できるので、使いやすい借り入れでもあります。
収入が低い人必見!契約者貸付の知られざるメリット
銀行や消費者金融からお金を借りるのと生命保険契約の契約者貸付を利用するのでは、大きな違いがあります。それが、借り入れの審査に関してです。
カードローンを契約するとき、貸金業者は、契約者の返済能力と信用情報を審査によって調べます。これによって借り入れが出来るか否か、いくらまで借り入れが認められるかが決まるのです。当然、収入が安定していて高所得であるほど審査に通りやすくなりますし、借り入れできる金額そのものが大きくなります。
しかし裏を返せば、収入が安定していない人や、低収入の人はこうした貸金業者のカードローンでは大した金額を借りることが出来ないということでもあります。
生命保険の契約者貸付は、貸金業者の借り入れとは異なり、解約払戻金の範囲内という制限があるものの、借り入れするときに審査を受ける必要が無いため、本人の返済能力を問われない借り入れです。
また、カードローンなどでお金を借りたという事実は信用情報機関に記録されるのですが、契約者貸し付けで借りた記録は、信用情報機関には残りません。これはメリットとデメリットがあります。
メリットとしては、延滞などで事故情報が載る心配がないという点であり、デメリットとしては、返済実績が作れないため、カードローンなどの審査で、過去の契約者貸付の際に返済が問題なく出来たという事実が加味されない点です。要は返済実績として認められないということです。
契約者貸付を長期で利用するときの注意点
契約者貸付は金利は低いというその性質上、比較的長期の借り入れに使われることが多いです。その時に気を付けなければいけないのは、保険金が支払われる時に借金があったらどうなるのかという話です。
例えば、契約者貸付で30万円借りているときに、怪我で入院することになったとした場合、その際に支払われるはずの保険金や補償に対して、現時点でしている債務が相殺されるケースがあります。
つまり、保険金が貰えるはずの事例に該当しても、その時点で解約者貸し付けによる借金が残っていた場合、その借金を差し引いた分の保険金しか受け取れないということになるのです。借金の方が大きければ、1円も受け取ることが出来ないということも珍しくありません。
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