何故懲りない?借金を何度も繰り返す人の心理メカニズムを解説!
借金というのは、出来ることならしたくないものです。しかし中には、せっかく借金を全て返済したにも関わらず、大した理由もなく借金を繰り返してしまうような人がいます。
お金に困っていてやむを得ず借金をしてしまうならともかく、特にしなくてもいいような理由で借金をする、なぜこのような行動をとってしまうのかを解説していきます。
自分の身近にこうした人がいた時には、どのように対処すべきなのかも合わせて考えます。
借金だと思っていない?借り入れを繰り返す人の心理とは
借金を繰り返す人について考えるとき、まずは彼らの考えを理解しなくてはいけません。なぜ必要でもない借金をあえてしてしまうのか、なぜ良くないことだと分かっていても借金をやめられないのか。この部分の根底となる心理や思考を知っておかないと、改善させることは出来ません。
借金を繰り返す人の心理を一括りにはできません。彼らの性格を表す言葉としてよく聞くのが、「お金にだらしない」、「見栄っ張り」、「無責任」、「忍耐力が無い」といった文言です。どれもこれも、確かに彼らの性格の一部であり、的を射た意見もあるでしょう。しかし、一番重要なポイントが抜けています。
借金を繰り返してしまう人には、「借りたお金が最終的に自分の物ではなくなる」という意識が、致命的に欠落しているのです。
要するに、カードローンなどによってATMから引き出したお金が、あたかも完全に自分の物だと考えてしまうのです。そこには、「借り物」という意識は無く、自分の金をどう使おうと自分の勝手だとしか考えないのです。
当然、返済期限が迫ってくれば、それが借金であると強く認識します。問題なのは、実際にお金を引き出し、手に現金を持った瞬間の心理なのです。
カードローンなどを計画的に利用している人にとって、にわかには信じられないかもしれませんが、借金を繰り返してしまう彼らは、返済期限が近づくまで借金をしているという意識が極めて希薄なのです。
その結果、無事に借金を返済しきっても、その分のお金が使えなかったと思うようになり、返済した資金の埋め合わせのように借金を繰り返してしまうのです。
簡単に大金を手にする快感を克服することの難しさ
「何の苦労もなく現金が手に入る」、「簡単だからついのめり込んでしまった」。
これは、実際に借金の繰り返しによって多重債務に陥った人が言ったセリフです。カードローンのカードをATMに入れ簡単な操作をするだけで、現金を引き出すことが出来る、しかも、自分の口座の預金は一円も減らない。
こうした考えを実際に持っているのが、借金を繰り返してしまう人の特徴でもあります。ちょっと考えれば、引き出したお金は貸金業者の物であり、自分の物ではないと分かるのですが、彼らはそれを認識できません。簡単な手続きで大金を手にすることが出来るというプロセスは、金銭欲求を非常に強く刺激するのです。
借り入れを繰り返していくと、借金をするというよりも、現状のお金を持っていない自分に耐えられないというように意識が変わっていきます。
買い物をすることがストレスの発散方法になっている人は、常にある程度まとまったお金を持っていないと不安になるため、借金を繰り返すようになると非常に問題になりやすいと言われています。
このタイプの人は、借金を繰り返すというよりことも、簡単にお金を引き出すことが出来るという現状を変えることに重要な意味があります。カードローンを解約してしまうことが手っ取り早い方法ですが、借金の依存症のようになっている人はそれでは足りません。速やかにカウンセリングなどで専門家に相談しましょう。
見栄と嘘が原因?不必要な借り入れをやめられない人の特徴
ここから解説していくのは、借金を繰り返す人の中で一番多いタイプで、通常「自尊心保持型」と言われるタイプです。簡単に言えば、自分が吐いた嘘や張った見栄の辻褄を合わせるために借金を繰り返してしまうタイプです。
例えば、休日はこんな豪華な生活をしていると友人や知人に自慢をします。実際はそんなことはないのですが、周りに「すごい」とか「羨ましい」と言ってもらいたくて見栄を張ります。当然そんな生活はしていないのですが、その嘘を現実にするために借金をします。
実際にそのように現実を見栄の方に合わせていくと、それが事実になるので周りからチヤホヤされます。それに快感を覚えて、さらに大きな見栄を張り、それを実現するためにさらに借金をしていき、それが繰り返されていくという流れです。
借金をしているという事実は、優雅な自分、贅沢な自分に相応しくないとして徹底的に隠そうとします。結果的に、借金があっても周囲の人が把握しにくく、手遅れになるまで気が付かなかったというケースが多いのもこのタイプなのです。
見栄を張るための借り入れをやめるのに重要な心がけは何か
このタイプは、どのような心理で行動しているのかが分かりやすいです。根底にあるのは、「他人から認められたい」という承認欲求です。
見栄っ張りな性格というのは、とにかく自己顕示欲と承認欲求が高い性格です。周囲の人に「私はこんなに素晴らしい人間なんだ」と思ってもらいたいという欲が非常に強く、それをかなえるのに一番手っ取り早いのが、「資産を持っている」という事実なのです。
もし、読者のあなたがこのタイプに該当するという自覚があるのなら、借り入れによる見栄の張り方をやめろと簡単に言っても、なかなか治らないでしょう。
ではどうするのが良いかと言えば、認めてもらいたい周囲の人間と同じ趣味を持つことです。それが仕事仲間であれば積極的に協力し、友人や知人であれば、共通の趣味や話題を持つことで承認欲求は満たされやすくなります。
有能であったり、優れた能力を見せつける必要はありません。人は、自分に近い相手に共感を抱き、容易に認めやすくなるのです。
見栄を張りたいという欲求がどうしても治らないというのであれば、「見栄を張るために借金をしていた事実が発覚すれば相手から見下される」と考えるようにするだけでも、借金を繰り返すことへの強い抑止力が期待できます。
見栄っ張りな性格の人は、相手に馬鹿にされたり見下されることを人一倍嫌います。であれば、その特徴を逆手にとって、借金を繰り返すことがそうした結果に繋がると認識すれば、怖くて借金をしようと思わなくなるのです。
理想の生活を望んで借金に手を出すケースは危険!
借金を繰り返す人の中でも最も厄介なのがこのタイプです。現状の生活に満足できていないのが原因なのですが、自分の理想とする生活水準と、現在の生活水準の穴埋めを借金によって行おうとするタイプです。
このタイプは正確に言うと、借金を繰り返してしまうというのではなく、「借金をしてでも生活の質を落としたくない」という考えを持っています。ある意味、最も金銭に対する執着が強いタイプでもあります。
生活水準を下げざるを得なかったという事情があるのも、このタイプの特徴です。先ほどの見栄で贅沢をしたいというのではなく、「かつての生活に戻りたい」というのが最大の理由なのです。
一度生活水準が上がってしまうと、それを下げた時に心身に多大なストレスになるということが分かっています。
借金を繰り返してしまうのも、自分が下げた生活水準に耐えられないためなのです。だから無理してでも借金をして、少しでも以前の自分の生活に近づけようとしてしまうのです。
そして同時に、このタイプは改善が非常に困難だと言われています。生活水準を引き上げるには、所得の大幅な増加が必要なのですが、そう簡単にいくものではなく、つい簡単な借金の方に頼ってしまうからです。
彼らの根底にあるのは現状に対する不満なのか
かつての生活に戻りたいと考える人は、現状に対して不満を持っているかというと、必ずしもそうではありません。
もちろん、生活水準が大きく下がってしまった人は、現実に強い不満を持ちますが、多少下がった程度であれば、そこまで劇的に日々の暮らしが変わるわけではありません。では何が彼らを借金に駆り立てるのかという話になってきます。
彼らが理想とする生活の根源には、周囲の人間に対する羨望の感情が強く出ていると考えられています。
例えば、SNS上で見聞きする他人の生活、テレビなどに登場する富裕層の生活、こうした生活に強い羨望の感情が根底にあり、それが理想の生活像としてと設定されるとともに、現状の自分の生活水準の低さにストレスを感じることによって、借金してでも生活の質を上げたいと考えるようになります。
つまり、自分の今の生活が気に入らないからという理由で借金するのではなく、他人の生活を覗き見て、それに対する自身の生活水準の低さに失望してしまうのです。
他人は他人だと割り切ることが出来れば、このタイプは借金を繰り返す行動を改善することが出来るのですが、一朝一夕で性格を改善することが困難であることは先に述べたとおりです。
このタイプも多少荒療治になりますが、他人からの生活に関する情報をシャットアウトするのが現実的です。SMSから距離を取ったり、他人の生活を見ないように心がけ、現在の自分の生活水準ではなく、「生活の質」を上げる工夫をしましょう。
一見借金とは関係ないような話に見えますが、こうした精神的な面を改善していくことが、借金の繰り返しの癖を治すきっかけにつながるのです。
身近に借金を繰り返す人がいたらどうするべきか
自分の家族や大切な友人などが借金を繰り返すようになってしまうのは忍びないものです。もし、そうした身近な人が借金まみれになりそうになっていたら、出来る限り治したいと考えるもの自然なことでしょう。
借金を力づくでやめさせるのは簡単ですが、相手の不満や欲求が解消できなければ、近いうちにまた借金に手を出すでしょう。根本的な解決には、原因そのものを取り除くために協力することが求められます。
借金をせずにはいられないというのは、ある種の精神疾患と同じです。自分の力だけでなんとかしようとするのではなく、きちんと専門家に相談するようにしましょう。
借金を繰り返してしまう人を、「金にだらしない無責任な者」と切り捨てるのではなく、その本当の理由を知り、現状を改善するために本人に努力させることが最も大切なことなのです。
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