故人の借金発覚!相続放棄の流れと注意点を紹介
父親が借金を残して亡くなってしまった!こんな時に、相続人は借金を支払わなければならないのか、放棄することができるのかを見ていきます。
答えは、相続が開始したことを知った時及び相続人になったことを知った時から3ヶ月以内に、家庭裁判所に相続放棄の申述を行えば、借金の相続放棄ができるのです。
けれど、それまでに知っておくべきこと・やるべきこと、そして相続放棄の手続きや注意点について説明していきますよ。
借金は総額いくら?まずは故人の借金を全て調べてみる
借金があるから相続放棄と単純に考えず、まずは借金が一体いくらあるのか調べてみましょう。
故人の金融機関の通帳をチェックして、カードローンなどの引き落としがないか調べましょう。
また振込等で返済をしていた場合でも、利用者が亡くなってから返済が滞れば、請求書や催告書等の郵便物が届いたり、電話連絡があったりします。
これらに対応していくと、どこからいくら借りているのかが分かりますね。
信用情報機関の情報開示
素早く借金の全容を把握したい場合は、信用情報機関の情報を開示するとスムーズです。
- 全国銀行個人信用情報センター
- シー・アイ・シー
- 日本信用情報機構
情報の開示は、利用者本人にしか行うことができませんが、利用者が亡くなった場合は法定相続人による手続きであれば、開示申し込みができますよ。
【こちらの記事も参考にどうぞ!】
カードローンを利用するなら知っておきたい!信用情報機関とは
これを作ると把握しやすい!相続財産のリスト
信用情報機関の情報の開示等で知ることのできた借金などは、リストを作っておくと把握しやすくなります。
相続財産のリストを作っておくと、以下のメリットがありますよ。
- 相続税がどのくらいかかるか把握できる
- 債務が多い時は、相続放棄をするか的確に判断できる
- 必要な相続手続きが分かる
相続財産のリストには、プラスの財産とマイナスの財産を書いておくと分かりやすいですね。
相続財産 | 内容 |
---|---|
プラスの財産 | 不動産、現金、預貯金、株式、宝石、貴金属、美術品など |
マイナスの財産 | 住宅ローン、カードローン、クレジットカード、未払いの税金等 |
相続財産のリストには決まった様式はありませんので、分かり次第リストに書き込んでいきましょう。どこから、いくら、どういう種類のお金を借りているのか等を書いておくと安心ですね。
- どこから
- いくら
- どういう種類のお金
例えば借金の場合だと、「○○カードローン、100万円、平成×日△月△日借入れ、金銭の借入れ」と、書いていくと分かりやすくなりますよ。
プラスとマイナスの財産を書くと把握しやすい理由
相続財産のリストにはプラスの財産とマイナスの財産の両方を書くことで、相続するか、相続放棄をするのかを決めやすくなります。
「マイナスの財産があるから即放棄!」と決めてしまうのではなく、プラスの財産とマイナスの財産の両方を見ることで、どちらがお得になるのか比べやすくなるのです。
よくよく比べてみると、プラスの財産から借金を相殺できることもありますよね。そうすると、相続した方が良いこともあるのです。
相続財産を整理した結果、放棄したい!相続放棄の手続き
プラスの財産とマイナスの財産を整理してみたけれど、借金の額が大きすぎて払えない!そんな時には、相続放棄をしましょう。
相続放棄をすると、プラスの財産も全部放棄することになりますが、借金を支払えないのであれば相続してもマイナスになってしまいます。そのため相続放棄が賢明な選択となりますね。
最初に紹介した通り、相続放棄は相続の開始があった時から3ヶ月以内に、家庭裁判所に書類を提出しなければなりません。
放棄をするには手続きがいりますので注意が必要ですよ。
相続放棄の流れ
相続放棄の手続きをするためには家庭裁判所に出向き、必要書類とともに届出を行い、家庭裁判所にその届出を認めてもらう必要があります。
届出を行う家庭裁判所は、亡くなった方の住民票の届出のある場所を管轄する家庭裁判所となりますよ。必要書類は以下になります。
- 亡くなった人の死亡の記載のある戸籍謄本
- 亡くなった人の住民票除票または戸籍附票
- 届出をする人の戸籍謄本
- 収入印紙800円分
- 郵便切手(各家庭裁判所により、切手の金額、枚数等は異なります)
上記の書類をそろえて、家庭裁判所に提出しますよ。
↓
家庭裁判所から「照会書」が届く
↓
「相続放棄申述受理通知書」が届く
照会手続きは各裁判所によって方法が異なり、省略するところもあれば、面談を要求するところもありますので、家庭裁判所の指示に従いましょう。
また、相続放棄が認められても借金の債権者に対して家庭裁判所がその旨を通知するわけではありません。つまり相続放棄したことを伝える必要がありますよ。
相続放棄を伝える時には「相続放棄申述受理通知書」を提示するとスムーズにいきます。
なかには、相続放棄申述受理証明書の提出を求めるところもありますので、求められた時には家庭裁判所で別途発行してもらいましょう。
知っておきたい!相続放棄の注意点
以上の通り、自分が相続人になる相続が始まったことを知った時から3ヶ月以内に家庭裁判所で手続きをすると相続放棄ができますが、注意しておきたい点があります。
法定単純承認
法定単純承認とは、以下の事由がある場合には、単純承認をしたものとみなされる制度になります。
- 相続人が相続財産の全部または一部を処分したとき
- 相続人が相続開始を知った時から3ヶ月以内に限定承認・相続放棄をしなかったとき
- 相続財産の全部・一部を隠したとき
- 相続財産の全部・一部を債権者を害する目的で消費したとき
- 相続財産の全部・一部を悪意で財産目録に記載しなかったとき
上記の行動をすると、それ以降は相続放棄や限定承認をすることができなくなりますので、相続放棄を考えているなら法定単純承認にならないように気をつけましょう。
限定承認とは
マイナスの財産もあるけれど、プラスの財産もあるから、どっちが良いのか分からないという時には、限定承認という方法もあります。
限定承認とは、亡くなった方の資産の範囲で負債(借金、債務)を支払う、という手続きになります。
つまりプラスの財産の範囲でマイナスの財産を返済するため、相続によってマイナスになることがないのです。
相続放棄と同じように、3ヶ月以内に家庭裁判所に書類を提出して手続き開始となります。
相続放棄について
その上で相続するのか、放棄するのかを判断しましょう。相続放棄を決めたのなら、相続開始から3ヶ月以内に家庭裁判所に届出が必要となりますね。
法律手続きが苦手という場合は、弁護士や司法書士に相談するのも一つの方法となりますよ。
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