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「制度融資」とは?自治体には融資で起業を支援する制度がある!

起業を夢見て頑張っても資金面で壁にぶち当たる人は多くいます。計画面では将来性があっても先立つものがなければもったいないことです。

実際に創業時や起業間もなくても費用や資金で困窮する人は多いでしょう。

そんな時の助けとして、事業主や自営業者向けのローンを活用する人もいますが、まずは公的支援を受けるのも方法の一つです。

よく知られているのは日本政策金融公庫ですが、都道府県や市区町村にもそんな人達を支援する「制度融資」があります。どんな支援、どれぐらいの融資が可能なのでしょうか。

起業で資金が必要な時に助けになる公的融資はいろいろある!

起業を考える場合、アイデア、資金、計画(戦略)、実行力など、必要なものがたくさんあります。その中でもネックになる一つに、資金があります。「いいアイデアがあるのに設備投資する資金がない。」「店舗を出すのに費用がかかる。」など、お金がないが為に行き詰まることは、よく耳にします。

誰もが最初から会社を興すほどの資産を持っている訳ではありません。多くの人が、銀行から融資を受けたり、助成金を活用したりします。が、初めての場合、銀行から融資を受けることはまず難しい為、多くの人が公的支援を受けます。

公的融資や支援のいろいろ

  • 日本政策金融公庫
  • 商工組合中央金庫
  • 沖縄振興開発金融公庫
  • 地方自治体(都道府県や市区町村)の制度融資

ちなみに他にも融資とは少し違うかもしれませんが、厚生労働省では雇用や労働関係に関しての助成金、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構や財団法人介護労働安定センターなどの機関では、それぞれに該当する内容の助成金を用意しています。

早い融資は可能だが金利が高い民間の金融機関も方法の一つ

もちろん公的支援だけでなく、民間の金融機関の融資を受ける人も多くいます。銀行もですし、消費者金融も事業主向けの商品があります。

ただし、借入額にもよりますが、一般的に金利は高くなります。大よそですが銀行の場合、3.0~14.0%、ノンバンクでは、3.0~18.0%ぐらいになります。

もちろん、条件によってこれよりもさらに低い金利で借りることも可能です。ただ、当たり前ですが、融資額が大きくなればそれだけ審査も厳しくなります。

できれば少しでも低い金利で借りようと思ったならば、最初に説明した公的支援を活用した方が、かなり低い金利で借りることができます。

ただ、金利が高い代わりと言う訳ではないのですが、民間の金融機関の方が数日掛ったとしても公的機関よりも早く融資してもらえる可能性が高いです。

消費者金融だと早いところで即日融資も可能ですので、急に費用が必要になった場合には、重宝します。

「制度融資」は各地方自治体が行っている起業を支援する融資の制度!

とはいえ金額が大きければ、金利の違いがそのまま利息の額に影響を与えます。なるべく、金利の低い融資内容がいいのは当然かもしれません。早くても金利が高いのは辛いと言う人は、やはり公的機関の融資を検討するのが一番でしょう。

その中でも「制度融資」は地方自治体が扱っているので、低い金利でお金を借りられる身近な融資制度と言えるかもしれません。

制度融資とは
都道府県、または市区町村などの各地方自治体が行っている、中小企業への事業資金調達のための融資あっせんを指しています。それぞれの地方自治体で行っているので、自治体によって融資額や金利、補助など、内容が変わってきます。
制度融資の大きな特徴としては、直接自治体に融資してもらうという形ではなく、自治体から民間の金融機関へあっせんをしてもらう形での融資になります。その際に、信用保証協会に保証人になってもらう点も特徴の一つと言えます。また、保証金や金利の一部を自治体が負担することもあります。

この制度によって、貸し倒れのリスクを減らしたり、金融機関が起業した会社に融資しやすくなります。

地域によって違う?制度融資の内容はそれぞれどうなっているのか

各地方自治体によって制度融資が違うので一概に言えませんが、例として内容を見てみたいと思います。

東京都の場合(東京都中小企業制度融資:創業融資)

対象 事業を営んでいない個人で、1ヶ月以内に新たに個人でまたは2ヶ月以内に新たに会社を設立して東京都内で創業しようと具体的計画を有している
創業した日から5年未満の中小企業者、または組合
東京都内で分社化しようとする会社、または分社化により設立された日から5年未満の会社
資金使途 運転資金
設備資金
融資限度額 3,500万円
(創業しようとする人は自己資金に2,000万円を加えた額の範囲内)
融資期間(措置期間) 運転資金7年(1年以内)
設備資金10年以内(1年以内)
利率
(年率)
固定1.9%以内~2.5%以内
変動「短プラ+0.7%」以内
※責任共有制度対象外となる場合は、固定1.5%~2.0%以内・変動「短プラ+0.2%」以内
保証人 原則として法人代表者を除いて連帯保証人は不要
物的担保 原則不要
保証料補助 信用保証料の1/2

 
細かいことは融資内容にもよりますが、いろいろとあります。例えば、申し込み対象の条件としては、このような条件もあります。

  • 都内に事業所(住居)があり、保証協会の保証対象となる業種を営んでいる。
    (ただし、一定の業歴要件が必要となる場合あり。)
  • 事業税その他租税の未申告、滞納がないこと。
    (ただし、完納の見通しが立つ場合などは、この限りではない。)
  • 許可、認可、登録、届出等が必要な業種では、当該許認可等を受けている。
    (または、受ける。)
  • 現在かつ将来にわたって、暴力団員等に該当しない。
    暴力団員等が経営していると認められる関係等を有しない、および、暴力的な要求行為等を行わない。

他にも提出書類も多く、一例ですがこのような書類が必要になります。

  • 印鑑証明書
  • 商業登記簿謄本
  • 確定申告書(決算書)の写し
    (原則間近2期分)
  • 納税証明書
  • 見積書、または契約書の写し
  • 創業計画書 など

地域が違うとまた内容も違ったりします。

大阪府の場合(大阪府制度融資:開業サポート資金(開業資金))

利用資格 事業を営んでいない人が事業をする場合
事業開始後5年未満の場合
※事業開始前または、事業開始後2カ月未満の場合は、1/5以上の自己資金が必要
融資限度額 開業資金A2,000万円
開業資金B1,500万円
合算限度額3,500万円
資金使途 運転資金
設備資金
利率 A・Bとも年1.4%
(固定金利)
融資期間
(措置期間)
7年以内
(12ヵ月以内)
信用保証料率 年1.0%
担保 不要
連帯保証人 個人 原則不要
法人 原則代表者以外不要

 
このようになっています。もちろん、提出書類も東京都同様、多くあります。同じ都道府県の規模なので融資額もどちらも大きいのですが、これが市区町村になると例えば融資額が1,000万円になったり、融資期間が10年に伸びたりいろいろとあります。

どこの地域にしても、金利や融資額など、良い内容で融資してもらえることには違いありません。

制度融資は起業向けの融資!条件や申し込みの流れについて

地域によって違いはあるものの、基本的には誰でも申し込みができるのはわかったと思います。

ただ、当然、起業に向けた融資なのでそれに、先の東京都の申し込み対象条件のように付随する条件はあります。一般的な条件として、このような内容はどこでも共通していると思っていいでしょう。

制度融資を受けるための一般的な条件

  • 中小企業である
  • 融資を受ける地域内で、一定期間事業を行っている
  • 税金を納めている
  • 過去の融資などにおいて延滞等の事故がないこと
  • 許認可が必要な業種では、その許認可を受けていること

これは、あくまで基本的な事項です。先の東京都のように、細かく正しい条件については各自治体で確認することが必要です。

また、申し込みに関しての流れも、一般的な金融機関への融資申し込みとは少し違うと言えます。

制度融資の申し込みの流れ

地方自治体の相談窓口にて相談する

自治体よりあっせん書が発行される

あっせん書を民間の金融機関に提出し、融資の相談をする

信用保証協会に信用保証の申し込みをする

信用保証引受の可否通知がくる

金融機関の融資の可否通知がくる

金融機関から自治体へ融資の可否通知が届く

通常のローンや 日本政策金融公庫とは少し違うことに気付くと思います。ただ、どちらにしても審査があるのは同じと言えます。審査は、信用保証協会と金融機関があります。

この審査に関しては、日本政策金融公庫の場合でもそうなのですが、ただ申し込みすればいいというわけではなく、普通の個人が申し込みするローンとは違って提出書類も多く、また、起業と言う点をしっかりと伝えなければいけません。その為、厳しいとも緩いともどちらとも言えない部分はあります。

どちらにしても公的な支援ということで、大いに活用すべき融資であることには間違いありません。

メリットもあるがデメリットも当然ある!理解して申し込むことは必要

公的な支援制度である為、何でもいいことばかりと思ってしまいがちですが、条件を見てもわかるように、いいことばかりとは限りません。改めて、制度融資についてメリットとデメリットがあることは頭に入れておく必要があります。

制度融資のメリット

  • 低い金利で融資が受けられる
  • 利息の一部を自治体が負担してくれる
    (利子補給制度)
  • 信用保証協会の保証料の一部を自治体が負担してくれる
    (信用保証料補助制度)

制度融資のデメリット

  • 融資実行まで時間がかかる
    (2~3ヶ月ほど時間が必要)
  • 自己資金要件が厳しいことがある
  • 経営者が連帯保証人としてサインする必要が多い

どうしても通す機関や団体が多い為、時間がかかってしまいます。

日本政策金融公庫よりもかかると思っていた方がいいでしょう。

制度融資以外にもあるので上手に使い分けたり併用するのが一番!

メリットとデメリットがあることで悩んでしまうかもしれませんが、必ずしもそれだけが融資の方法ではありません。

そして、都道府県だけでなく市区町村によってもそれぞれに違ったり特徴があるので、どこの制度を使うかで用意できる資金や返済状況が大きく変わることがあります。

審査に通らないと意味はないのですが、できるだけ自分の負担が少ないに越したことはないので、どの制度が自分にあっているのかをよく吟味することも大切です。

最初に触れたように、例えば日本政策金融公庫などの他の公的支援もありますし、急ぎの場合は、民間の金融機関を利用するのも一つの手です。併用することは可能なのです。

ただ、もし制度融資と日本政策金融公庫の融資を併用するならば、制度融資の方が融資までの時間が掛るので(日本政策金融公庫も3週間~1ヶ月は掛りますが)、制度融資の方を先に申し込みした方が、物事がスムーズに運びやすいです。

起業には様々な制度を利用する融資してもらえるような努力は必要!

制度融資は、起業時には大きな助けになります。上手に活用するようにしましょう。

また、どの支援を使う場合においても、創業計画書はしっかりと練って作る必要があります。

これが、融資の可否に大きく繋がるからです。

どんな事業であれ、努力することを怠ってしまったら、例え融資を受けられたとしても事業を継続することは困難になってきます。大変かもしれませんが、最初の一歩から努力を怠らないようにしましょう。

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